高濃度乳房について

乳がん検診が始まりましたので、高濃度乳房についてお話しします。大切なのは自分の乳房の状態を知ることです。当院で乳がん検診を受けた方には、乳腺濃度についてもお話しします。

  1. マンモグラフィでは、乳腺組織は白く脂肪組織は黒く写ります。そのため、乳房に占める乳腺組織と脂肪組織の割合や分布により、白い部分が多くなったり、黒い部分が多くなったりします。白い部分が多いことを、乳腺濃度が高い(高濃度乳房)と表現します。
  2. 高濃度乳房では病変を見つけにくい乳がんのしこりは、マンモグラフィでは白く写ります。通常は、乳がんのしこりの方が濃く写るのですが、高濃度乳房ではしこりが乳腺に隠れて、見つけにくくなる傾向がでます。
  3. 高濃度乳房は病気でない。高濃度乳房は、欧米人よりも日本人に、高齢者より若い人に多いことが知られています。高濃度乳房はその人の乳房の個性(体質)であり、病気ではありません。そのため、検診では高濃度乳房であっても、要精密検査にはなりません。
  4. 高濃度乳房と乳がんの発生リスク。高濃度乳房では乳がんの発生リスクがやや高く(約1.2倍)なることが報告されています。一方、高濃度乳房が少ない肥満の女性に乳がんが多い、高濃度乳房が多いアジア女性に乳がんが少ないなど、矛盾する事実も分かっています。現在、高濃度乳房と乳がん発生リスクの関係はまだよく分かっていないと言えます。
  5. 高濃度乳房の追加検査。臨床試験(J-START)で、高濃度乳房が多い40歳代女性に対して、マンモグラフィに乳房超音波を追加することにより、乳がん発見率、早期乳がん発見率が上昇する結果が得られています。しかし、対策型検診(市町村の乳がん検診)に導入する場合に必要な死亡率減少効果に関するデータは得られていないため、現在のところ導入されていません。

関連記事

  1. ブレスト・アウェアネスのイメージキャラクター

  2. 太田記念病院を退職

  3. 新年のご挨拶

  4. 乳がん検診の利益(メリット)

  5. 明日は内覧会

  6. 2020年を振り返って

PAGE TOP