高濃度乳房は,乳房の構成(乳房内の乳腺と脂肪の割合)を表す言葉であり,病気ではありません。高濃度乳房の場合は,そうでない場合と比べると,乳がんがあってもマンモグラフィで発見されにくくなりますが,乳がんがまったく検出できないということではありません。また,現在のところ高濃度乳房の方に強く勧められる追加検査はありません。高濃度乳房と乳がん発症リスクに関しては,日本人を対象としたデータはごく限られたものしかありません。欧米のデータによると,高濃度乳房の人は脂肪性乳房の人と比べると乳がんになる可能性がわずかに高くなると報告されていますが,ほかの乳がん発症リスク(家族や血縁者に乳がんの方がいる場合など)との相乗作用が問題であり,高濃度乳房であることのみで心配する必要はありません。高濃度乳房であるかどうかにかかわらず,定期的にご自身の乳房の変化を確認すること(ブレスト・アウェアネス)や,定期的に検診を受けること,そして,何か症状があれば,たとえ検診マンモグラフィで「異常なし」と判定されていても放置せず,速やかに医療機関を受診することが大切です。